プレゼンの最中だというのに、会議室は静まり返っていた。
先程まで雄弁にプレゼンを続けていた御堂は原稿を睨んだまま黙りこくってしまっている。
その瞳は虚ろで、頬はピンク色に染まっている。
一見すると熱があるのかと思わせるが真実は違った。
御堂の体内では卑猥な玩具が振動して御堂を快楽で苛んでいるのだ。
社内の重役たちの冷たい視線に焦りながら、
御堂は隣に座るローターを入れさせた張本人に懇願の眼差しを向けた。
だが、隣に座る悪魔は御堂に一瞬だけ目を向けると、
ポケットに入っている淫具のリモコンで振動レベルを最大にした。
ローターが唸りをあげて強烈な快感を与える。
「んぅっ……!」
御堂の顔がさらに歪んだ。目元を赤く染め快楽に耐えるその姿は、間近で見る者の瞳に扇情的に映る。
その色香に気付いた大隈の劣情を含んだ視線に、御堂は気付ける余裕も与えられていなかった。
プレゼンは御堂にとって最悪の形で終幕した。
あのあと、快楽に堪えきれずに倒れ込んだ御堂に代わり、佐伯は完璧なプレゼンを行った。
佐伯の明朗な声を聞きながら、今まで築いてきたものが崩れていくのを感じた。
プレゼンが終了したあと、御堂は大隈にここへ残るようにと言われた。
大方、自分の失態を責めるつもりなのだろう。御堂はぼんやりとそんなことを考えながら、椅子に腰かけていた。
「御堂君」
大隈に呼ばれ、御堂はゆっくりと顔を上げた。
先刻まで重役たちのいた会議室は、今は御堂と大隈しかいない。
あの悪魔も、今ごろ帰社しているころだろう。
立ち上がれずに上目遣いで大隈を見上げる御堂の瞳は潤み、大隈の劣情を煽った。
大隈は御堂の側へ寄ると、下卑た笑いを浮かべながら御堂が腰かけている椅子を引いた。
「っ……!」
御堂の顔がひきつる。
「どうして君のここは膨らんでいるのかね?」
大隈の手が無遠慮に御堂の股間を掴んだ。そのまま揉み込むように触られ、御堂の呼吸が荒くなる。
問いかけに答えられずにいる御堂を意地悪く見つめながら、大隈は言葉を続けた。
「会議中、君のところからバイブ音が聞こえてきた。携帯かと思ったが、それにしては長すぎる…」
「そ、それは‥」
御堂の表情に怯えの色が走った。
大隈が耳にしたバイブ音。それは紛れもなく、御堂の体内から発せられていたものだ。
「せ、専務、何を…!」
ベルトを解かれる金属音で現実へ引き戻された。
抵抗を試みる猶予もなく椅子から立ち上げられ机へと押し倒される。
強引にスラックスを下ろされると、尻から垂れ下がったピンクのコードが現れた。
大隈はそのどぎつい色のコードを掴むと、一気に引いた。
「こんなものを入れていたのか、君は」
引き抜いた淫具を御堂の眼前にぶら下げながら、大隈は先程から立ち上がったままの御堂自身を掴んだ。
「うぁっ……」
御堂の身体がびくりと揺れる。
「あんな大事な会議で、どうしてこんな玩具を入れていたのだね?」
意地悪く詰問する大隈に事実を答えるわけにもいかず、御堂はただ黙って震えていた。
本当のことを答えたとしても、自分の身を貶めるだけだ。
無言のままの御堂の様子を見て答える気がないと察したのか、大隈は御堂の耳元でねっとりと言った。
「まぁいい。君のような淫乱な部下は、躾が必要なようだな。これからじっくりと躾けてやろう」
その言葉は、御堂の耳に絶望的に響いた。
場所を大隈の執務室に移した大隈は、鍵をかけるとすぐに御堂を床へ押し倒した。
「嫌だっ、やめ‥っ!」
御堂の悲痛な叫びが部屋へ響く。
手足をばたつかせてのし掛かる大隈を退けようとする。
だが、凌辱されそうになっているとはいえ相手は上司。
思い切り抵抗することもできない。
その力の弱い抵抗は大隈を煽るだけだった。
「上司に向かってその態度はなんだ?」
大隈は乱暴な手付きで御堂のネクタイを取り去り、シャツのボタンを外した。
日に焼けていない白い素肌と赤く色づいた乳首が露になる。
大隈は御堂の両腕を片手で束ね床へ縫い止めると、ぷっくりと膨れた乳首に舌を這わせた。
「ぁあっ…‥」
濡れた声が大隈の耳に届く。佐伯によって快楽を覚え込まされた身体は浅ましいほどに敏感だ。
「専務っ、やめてくださ‥ぁ…っ」
「駄目だ。躾だと言っただろう」
御堂の懇願をあっさりと切り捨て、大隈は先端からとろとろと透明な液を流す御堂自身に指を絡めた。
そのまま上下にしごいてやれば、御堂の唇から嬌声が上がる。
腰を揺らしながらも眉を寄せて快楽に耐えるそのアンバランスな姿は、美しくそして淫猥だ。
「ぅ…ぁあっ!」
御堂の身体がしなり、先端から放出された白濁液が大隈の大きな手のひらに受け止められた。
「ぁ…は、ぁ……」
息つく暇もなく脱力した身体を四つん這いにさせられる。
鼻先に自らが放った液体が付着した大隈の手のひらが突き出された。
顔を背ける御堂に冷徹な大隈の声が浴びせられる。
「舐めたまえ」
一方の手で頭を掴まれ、無理矢理前を向かされた。
唇へ大隈の手が押し付けられる。御堂は諦めて自らが放ったそれを舌で舐め取った。
独特の臭気と味が口に広がる。屈辱で浮かんだ涙で視界が滲んだ。
「ぅ…っ……」
堪えきれずに嗚咽が漏れる。瞳からこぼれた透明な雫が頬を伝い、カーペットに落ちた。
屈辱に満ちたその表情が、大隈の劣情を煽っていることに気付ける余裕はない。
ようやく舐めとり終えると、大隈は冷酷な命令を下した。
「自分で後ろを解せ」
「なっ……!」
あまりの言葉に絶句する。
「そのくらいできるだろう。プレゼンであんなものを入れていたのだからな」
御堂に覆い被さりながら、大隈は御堂の腕を掴んで指先を後孔へ誘導した。
御堂は首を横に振って否定の言葉を吐く。
「違いますっ、あれは佐伯が…。…っ!?」
そこまで言って、慌てて口を閉ざした。だが、もう遅い。
「ほう、あの佐伯君が……」
御堂に替わってプレゼンをしっかりと行った佐伯の姿を思いだした大隈は、さすがに目を丸くした。
だが、その驚きの表情を下卑た笑みに変えて御堂を侮辱する言葉を投げる。
「そうか、君は佐伯君までたらしこんだのかね。全く、どうしようもない淫乱だな」
「ちがっ……」
否定の言葉をこぼしながら弱々しく首を振る御堂に、大隈は自らの太い指を秘所に突き入れた。
御堂の唇から悲鳴が上がる。だが、長時間ローターで責め続けられた裡は解す必要がないくらいに蕩けていた。
「もう解す必要もないな…‥」
低く笑われるとともに指が引き抜かれる。
前がくつろげられる気配がし、御堂は身を捩って大隈から離れようとした。
「専務っ…もう、やめてくださっ、ぅ…ぁアッッ!」
必死の懇願は、途中で悲鳴に変わった。
中を大隈の熱くて固い肉棒が割り進んで行く感覚が御堂を襲う。
それは僅かな痛みを伴いながら、激しい快感をもたらした。
感じたくなどないのに、浅ましい身体は快楽を貪欲に拾っていく。
「すごいぞ…御堂君…‥」
まとわりつくように肉棒へ吸い付く内壁に、大隈が欲望にかすれた声で呟く。
「いや‥だ、いやっ……!」
大隈の下で涙を流しながら身悶えるその姿は、
普段の完璧な部下である御堂とはかけ離れていて、凄艶なものだった。
「ん、あぁ……!」
御堂の声音がより甘やかなものにかわった。
最も敏感な部分が、大隈のモノで強く突かれる。
強烈な快楽の炎で理性が溶けかかるなか、御堂の心が、悲鳴のような叫びをあげる。
佐伯……
貴様のせいだ…
貴様さえ…
貴様さえ、いなければ……
それは理性の断末魔なのか、それとも―…。