のど飴

 

その日、朝から御堂は咳をしていた。

昨日までは何ともなかったみたいだが、今朝起きた頃から喉の痛みを感じていたらしい。

「体調管理がなっていないな」と御堂は少し悔しげに言っていた。

念のため、御堂に熱を測らせてみたが、熱は出ていなかったので少し安心した。

 

 


その後も時折咳が出る以外は、具合が悪くなることはなかった。

この様子なら、しっかりと睡眠をとれば治りそうだ。

だが、油断は禁物である。終業時間になっても残った仕事をやろうとする

御堂を説き伏せ、俺は御堂を先に家へ帰した。

御堂が帰り、引き継いだ御堂の仕事を急いで終わらせる。


その仕事も終わり、御堂が待つ家へ向かった。その途中、俺はコンビニへ寄った。

入り口から入ってすぐ近くにある飴の棚に立つ。

(これでいいか)

たくさんの飴の中から、のど飴の袋を1つ手に取った。

『柘榴』ののど飴という、一風変わった代物だ。

さっさとレジに向かい、会計を済ませてコンビニを出る。

だが家の近くまで来たとき、飴の味がふと気になった。

元々柘榴は一番好きな食べ物だ。どんな味なのか興味がある。

袋を開け、飴の入った小さな袋を割いて口へ放りこんだ。

(中々美味いな)

しっかりと柘榴の甘酸っぱい味がする。

その飴の味を楽しみながら、克哉は歩みを早めた。

 

 

家に帰ると、御堂が玄関まで出迎えてきた。

「何を舐めているんだ?」

御堂は、克哉が口の中に何かを含んでいることに気がついた。

「あぁ、これか」

克哉は不意に御堂の顎に手をかけ、唇を重ねた。

「……っ!?」

急な克哉の行動に、御堂の体が驚きで固まる。

その隙を突いて、克哉の舌が御堂の口内に侵入し、溶けて半分になった飴を御堂の舌に乗せた。

「…ん、……ぁ……」

だが飴を口移しした後も、克哉は舌で御堂の口内を犯した。

しばらく御堂と飴を堪能して、克哉はようやく御堂を解放した。

「い、いきなり何をするんだ……!」

頬を赤く染めて、御堂が克哉を睨む。しかし、克哉はさらりと言った。

「あぁ、のど飴を買ったから、お前に舐めさせようと思ってな」

御堂は不満げに言う。

「普通に渡そうとは思わないのか。大体、風邪がうつったらどうするんだ」

克哉はにやりと笑って言った。

「そうしたら、今度はお前に飴を舐めさせてもらうさ」